沖縄の精神と共にあった確かな議論
今回のメイン会場は、DICT base Okinawaのメンバーであり、本イノベーションキャンプのオーナーを務めた嘉数松悟氏が経営する進学予備校「CLASS.K」でした。沖縄の定番料理を囲みながら、参加者たちは自然と議論をスタートさせました。初めて会ったとは思えないほど心地よい温かい雰囲気が会場を満たし、「イチャリバチョーデー(一度会ったら皆兄弟)」という沖縄の言葉がまさに体現されているようでした。
会場であるCLASS.Kの裏手には、ご縁の神様が宿る出雲大社の分社が存在しており、この場のパワーに納得させられます。幸せな縁を結ぶ「大國主大神」に引き寄せられた14名による熱く深い議論は、なんと9時間にも及びました。

9時間の中で語られた一人ひとりの熱い想いは、その場にいた参加者の魂を揺さぶり、新たな価値をまとった想いとして、それぞれの活動への強力な内なる原動力となっていったようです。かつて450年続いた琉球王国が、中国、日本、東南アジアとの交易から生まれた「チャンプルー文化」を礎に繁栄したように、異なるものを否定せず、ありのままを認め、より良いものへと発展させていくその精神性が、イノベーションキャンプの1日目を締めくくりました。
『Peace from Shuri』平和を想い、世界へ繋ぐディープツアー
イノベーションキャンプ2日目は、DICT base Okinawaのメンバーで県立高校教頭を務めながら法政大学大学院イノベーション・マネジメント科で活動する新垣成美氏のガイドにより展開されました。ツアーの舞台となったのは、沖縄の象徴である「首里城」です。沖縄の歴史、文化が色濃く残る首里城の地下には、81年前の戦争で日本軍の指揮所として使われた「第32軍司令部壕」が眠っており、沖縄の繁栄の歴史と戦争の悲惨な負の歴史を伝える重要な場所となっています。


この地を舞台に選んだ新垣氏の内には、彼女の人生そのものが詰まった平和への想いが宿っていました。沖縄で古くから語り継がれる「命(ぬち)どぅ宝」という言葉には、命こそ宝であり、命より大切なものはないという、世界平和や一人ひとりの幸せの本質が込められています。新垣氏の言葉一つひとつに、「命どぅ宝」に通ずる願いが感じられました。この願いをツアーから世界へ広げていくように、沖縄戦で犠牲となった方々の名前を読み上げる集いにも参加しました。

DICT base Okinawaの展望とポテンシャル
今回の2日間のキックオフイベントを終え、熱い議論と濃密なツアーから得られたフィロソフィーは、活動は違えど参加者一人ひとりの共通理解として現れました。DICTが目指す最先端のアプローチであるWeb 3.0/DAOの世界観は、かつての縄文時代にも存在したと言われています。一人の貢献が誰かの喜びとなり、その喜びが誰かの生命活動に生かされ、別の貢献に繋がり広がっていく世界は、多様性をありのまま認め、独自に発展させてきたチャンプルー文化が根付くこの沖縄という地だからこそ実現できるポテンシャルを秘めているでしょう。DICTの繋がりを通して、沖縄から新たな価値の共創と循環が生まれることに期待が寄せられています。
社会実験コミュニティ「DICT」について
DICT (Design, Innovation, Co-Creation, Technology)は、2022年に社会起業家であり社会物理学者の山本晋也氏によって創設されたコミュニティです。Web 3.0とDAOを基盤に、デザイン、イノベーション、共創、テクノロジーを融合させた社会実験を通じて、新しい価値創造の形を模索しています。
DICTは国内外の多様な拠点で活動を展開し、創設以来18社の法人を輩出してきました。起業家や研究者、プロデューサー、アーティスト、クリエイターが集い、国際的な共創を推進する共鳴場として注目を集めています。

今回のイベントでのディスカッションやツアーの様子の一部を収録した1分強のダイジェスト動画も公開されています。