エコアイランド宮古島の広報誌「島の色」15号、八重干瀬の国定公園化プロジェクトを深掘り

国定公園化特集の背景と目的

宮古島市は、八重干瀬および周辺地域の自然環境を詳しく調査し、将来の国定公園化に向けた基礎資料の整備を進めています。この地域は、環境省による国立・国定公園総点検事業のフォローアップにおいて、新たな国定公園指定の候補地にも選ばれています。

国定公園化を実現するには、地域の貴重な資源を保護しながら、その魅力を活かす仕組みづくりが不可欠です。そのため、地域協議会の設立やガイドラインの整備といった体制づくりに加え、市民や観光客、宮古島を愛する人々への分かりやすい情報提供と理解促進が求められています。

「島の色15号」では、従来の誌面に加えて、裏表紙側から国定公園化の特集が続く新しい構成を採用。この取り組みを通じて、国定公園化の認知度を高め、共感し協力してくれる個人・企業・団体とのつながりを築くことを目指しています。

「島の色」で発信する意義

「島の色」は、エコアイランド宮古島の広報誌として、持続可能な島づくりのビジョンと活動を一貫して伝え続けてきました。観光、環境、地域の営みが調和する島の未来を目指すというエコアイランドの理念を、創刊以来丁寧に発信している媒体です。

今回の国定公園化に向けた特集は、単なる情報提供にとどまりません。「保全」「利活用」「再生」というエコアイランド宮古島の根幹にある考え方を広く共有する上で、極めて重要な役割を担っています。八重干瀬および周辺地域の価値を多くの人々に伝え、これからの利用のあり方を考えるためにも、「島の色」は最適な媒体だと考えられます。

市民説明会では、調査内容を分かりやすく知りたいという声が多く寄せられており、本特集はその要望に応えるものです。島内外の読者とともに、自然環境を守りながら活用し、未来へ引き継いでいく視点を共有することが、「島の色」の使命であり、この特集の意義とされています。

メインコンテンツの一つである「Miyakojima Unplugged」は、島民も来訪者も「責任ある当事者」として宮古島を体験し、地域の営みや自然との関わりを学ぶシリーズ企画です。今回の15号では、池間漁協組合長を島の案内役として訪ねた回を掲載。国定公園化を考える上で、科学的調査だけでなく、自然とともに文化や歴史を理解することの重要性も示しています。

水中を泳ぐウミガメと「千年続く自然と人の楽園へ」のポスター

木製のテーブルに広げられた雑誌のページ、池間島をテーマにした記事

調査の概要と明らかになった地域の保全価値

国定公園指定に向けた基礎資料整備の一環として、八重干瀬および周辺地域(池間島、大神島、狩俣地区、島尻地区、フデ岩など)を対象に、海域、陸域、景観要素に関する詳細な自然環境現況調査が実施されています。その結果、以下の重要な保全価値が明らかになりつつあります。

  • 海域生物調査:八重干瀬海域や沿岸海域では、サンゴ白化現象の影響を受けつつも、見事なサンゴ群落が確認されています。160種以上のサンゴ種が見つかっており、中には本海域が北限と考えられる種も含まれています。生物多様性のビッグデータ解析では、サンゴの保全優先度が高い海域であることが示されました。

  • 陸域生物調査:植物ではササキカズラをはじめとする希少種、動物ではミヤコカナヘビをはじめとする希少な爬虫類が多数確認されています。池間島ではオカガニの大規模な繁殖状況や池間湿原の生物相も記録されています。陸域の保全優先度は、やんばる国立公園に匹敵する値となっています。

  • 景観要素調査:ノッチやビーチロックといった石灰岩地域特有の地形や、島尻地域の市指定天然記念物「島尻断層崖と海食台」をはじめとする地質の大露頭が各地域で確認されています。

これらの科学的調査により、八重干瀬周辺地域が極めて高い生物多様性と保全価値を有していることが裏付けられています。

透き通った青い海中、サンゴ礁と群れをなして泳ぐウメイロモドキ

読者の皆さまへ

八重干瀬および周辺地域の国定公園化に向けた検討は、単に自然を守るだけでなく、科学的な調査に基づき、適切な保全や再生の方針を定め、その上で地域の自然資産をどのように活かしていくかを考える重要な取り組みです。自然の恵みを享受しながら、同時にそれらを丁寧に守り、次の世代へつないでいく視点が求められています。

「島の色」では、複雑な背景や調査内容を分かりやすく整理し、読者の皆さまがこの議論の全体像に触れられるよう努めています。本号の特集が、地域の自然と向き合うための冷静な判断材料となり、今後の検討を理解する一助となれば幸いです。

この特集は、宮古島市の「令和7年度 八重干瀬及び周辺地域自然環境保全活用促進事業」の一環として実施されています。

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