背景と目的:AIとの新たな協働プロセスを設計
生成AIの急速な普及により、業務プロセスの変革や効率化への期待が高まる一方で、企業には「AIと共存しながら、いかにして新たな価値を生み出すか」という視点が求められています。DTSは、これからの社会において重要なのは「人間とAIエージェントが織りなす知的協働プロセス」の設計であると考えました。
この研究は、AIのあり方を「人の創造性を引き出すAI」として再定義し、その効果を科学的に検証することを目的としています。HCI(ヒューマン・コンピュータ・インタラクション)および創造活動支援の分野で深い知見を持つ中西研究室と、DTSの社会実装力が連携し、アフェクティブAIエージェントのプロトタイプ開発と行動モデルの体系化に取り組みます。
共同研究の概要:創造性を誘発するAIの行動デザインと評価
本共同研究では、「アフェクティブAIエージェント」のプロトタイプを開発し、以下の検証を進めます。
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研究テーマ:人間の創造性を誘発するAIエージェントの行動デザインと評価
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目指す成果:
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AIの介入(問いかけや提示など)が人間の思考プロセスに与える影響の解明
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AIの共創の質を高め、人間の創造性を引き出す「協働のためのAI行動モデル」の構築
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この図は、従来のAIアシスタントが直接指示に基づき業務を代行する「指示待ち型」であるのに対し、アフェクティブAIエージェントは状況に応じた提案で人間の創造性を誘発し、発想支援や思考活性化を促す「共創パートナー」となることを示しています。
具体的な取り組み:産学連携で多角的に検証
DTSと中西研究室は、双方の環境をフィールドとして活用し、以下の3つのアプローチで検証を進めます。
- AI行動設計の体系化
DTSが主体となり、状況に応じて人間の思考を刺激するAIの振る舞い(パラメーター)を体系化します。中西研究室はHCIの学術的観点から専門的なアドバイスを提供します。 - プロトタイプの実装と多様な環境での実証実験
検証用プロトタイプの実装は中西研究室が主導し、DTSは技術的知見を提供します。実証実験は大学環境だけでなくDTS社内でも実施され、産学それぞれの状況でAIエージェントの振る舞いが人間に与える影響を多角的に評価・検証します。 - 「共創」メカニズムの解明
収集した人間とAIの対話データを中西研究室の学術的知見や評価手法を用いて分析し、どのような相互作用が「人間の創造性を誘発」するのか、そのメカニズムを学術的に解明します。
今後の展望:社内外への展開と新たな価値創造
DTSは、本共同研究で得られた知見を活かし、社内業務におけるAI活用を単なる効率化に留めず、「創造的な価値創出」の場へと広げ、組織的なイノベーション創出力の向上に役立てていく方針です。
さらに、実証実験を通じて、顧客企業の「人とAIの協働組織」をデザインするコンサルティングサービスや、創造性を高める「知的協働基盤(アフェクティブワークプレイス)」、さらには顧客体験(CX)向上に資するソリューション展開の可能性も探ります。
関係者コメント
慶應義塾大学 環境情報学部 教授 中西 泰人 氏
「生成AIの進化により、私たちは『答え』を即座に得られるようになりました。しかし、人間本来の知的な喜びは、『問い』を立て、試行錯誤するプロセスそのものにあるでしょう。本共同研究は、AIを単なる効率化の道具としてではなく、人の思考を揺さぶり、創造的な対話を生み出す『他者たち』として再構築する挑戦です。HCIと創造活動支援における知見と、DTS様の社会実装力を掛け合わせることで、人とAIが共に総合知を再構築する未来の知のあり方を提示したいと考えています。」
株式会社DTS 代表取締役社長 北村 友朗
「生成AIの業務活用が一般化する中、企業にとっては働き方や業務プロセスをどう再設計していくかが問われています。本共同研究では、中西研究室のHCIと創造活動支援に関する知見と、当社が持つ現場の業務知識およびSIによる社会実装力を掛け合わせ、創造性を引き出すAIエージェントの行動モデルを解明します。当社は、研究成果を社内外の業務へ展開し、AI活用による価値創出の実現を目指すとともに、今後も産学連携に積極的に取り組み、社会課題や顧客課題の解決に貢献してまいります。」
株式会社DTSについて
DTSは、総合力を備えたトータルシステムインテグレーターです。主に金融、情報通信、製造、公共、建築分野向けに、コンサルティングからシステム設計・開発、基盤構築・運用までをワンストップで提供しています。DTSグループは、システムに関わるさまざまな専門性を活かした付加価値の高いサービスを提供しています。
- DTS公式サイト:https://www.dts.co.jp/