与那国島の豊かな自然と直面する課題
日本最西端に位置する与那国島は、ヨナグニカラスバトやキンバトをはじめとする多様な鳥類、そして数多くの固有の希少な野生生物が生息しており、国際的にも非常に価値の高い自然が残されています。
しかし、1960年代以降の急激な開発や耕作放棄地の増加により、かつて豊かだった水田や湿地などの水辺環境が急速に失われてきました。この変化は、生物多様性の損失だけでなく、自然と共生してきた島の暮らしや文化の継承にも大きな影響を与えています。

このような状況を受けて、WWFジャパンは与那国島の貴重な生物多様性を守り、未来へと引き継ぐことを目的に本プロジェクトを立ち上げました。昨年9月に開催されたセミナー「SDGsで考える~与那国島の価値と未来」や、その後の住民、関係者、専門家との対話を通じて、保全活動の重要性が共有されたことがプロジェクト設立のきっかけとなっています。
プロジェクトの主な取り組み
WWFジャパンは、地域の皆さんや専門家と連携しながら、以下の3つの柱を中心に与那国島の生物多様性の保全と再生を進めていきます。
- 耕作放棄地を水田に再生し、湿地生態系を回復する
失われた水辺環境を取り戻し、多様な生物が暮らせる場所を再構築します。 - 絶滅危惧種の重要な生息地への保護区設置を目指す
特に希少な生物たちが安心して生息できる場所を確保するため、保護区の設置に向けて調査や準備を進めます。 - 島の文化や伝統を支える生物多様性の価値を普及する
与那国島の自然が育んできた文化や伝統の価値を広く伝え、地域住民の皆さんと共に保全意識を高めていきます。
プロジェクト概要
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名称: 与那国島の生物多様性保全プロジェクト
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実施地域: 与那国島(沖縄県与那国町)
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実施期間: 2026年8月~2030年6月
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実施団体: WWFジャパン、与那国島の自然と共に生きる会、水生生物や鳥類の専門家など
関係者の期待
WWFジャパンの野生生物グループ小田倫子氏は、「与那国島は訪れる度に、雄大な景観と豊かな湧水、そこに生きる動植物の多様性に驚かされます。2030年にはこの貴重な自然と景観が今より守られていることを目指し、プロジェクトメンバーと一致団結して取り組んでいきます」とコメントしています。
また、与那国島の自然と共に生きる会 代表の高橋千恵氏は、「このプロジェクトは与那国島にとって、自然環境の回復だけでなく、島の様々な問題解決のキッカケになる大きな可能性があります。稲藁で豊年祭の綱引きの綱を作るような伝統文化の継承や、収穫体験を通じた子どもたちへの食育、将来的にはエコツアーなど、自然と人、人と人の繋がりを思い出す良い機会にもなると期待しています」と、自然保全にとどまらない多角的な効果に期待を寄せています。
今後の展望と目標
2026年11月頃には、本プロジェクトの詳細と進捗についての報告会が与那国町で開催される予定です。この報告会には、プロジェクト実施団体だけでなく、与那国町長をはじめ、農業委員会やJAおきなわ、環境省などの関係者も参加し、地域住民や一般参加者も招いて、プロジェクトの内容や今後の展望について広く意見を交わす「ゆんたく」(沖縄の言葉で「おしゃべり」の意味)も開催される予定です。
WWFジャパンは、これらの活動を通じて、与那国島の豊かな自然と地域の暮らしを将来世代へと引き継ぎ、2030年に向けたネイチャーポジティブの実現に貢献していきます。