「霧島モデル」とは
「霧島モデル」は、地方で採用した人材をAI活用によって短期間でエンジニアとして育成し、地域内で開発を完結させる体制を築く取り組みです。多くのメンバーがエンジニア以外のバックグラウンドを持ちながらも、生成AIを前提とした学習環境と日次・週次の振り返りにより、実務レベルのノウハウを短期間で習得しています。この早期AI人材化が「霧島モデル」の核となっています。

開発プロセスの革新
今回の開発では、営業段階のヒアリングからAIを活用し、要件を基に試作品(プロトタイプ)を短時間で生成するプロセスが採用されました。このプロトタイピングも霧島ラボのメンバーが担当し、AIを使って顧客の要望を即座に可視化できるレベルに達しています。これにより、顧客との完成イメージを早期に共有し、認識のずれを減らした状態で開発を始められます。
実装フェーズでは、AIがコード記述やテストの一部を支援することで開発時間を大幅に短縮し、従来1カ月以上かかっていた開発を最短約7日で完了させています。AI活用による工程の自動化が進んだ結果、地方採用メンバーは顧客との調整、仕様検討、改善提案といった「上流の判断が必要な領域」に多くの時間を費やせるようになりました。
継続的なスキル向上
霧島ラボでは、AI活用による開発スピードと品質を両立させるため、案件で得られた知見の言語化とチーム内での共有を徹底し、継続的なスキル向上を図っています。プロジェクト終了後の「AI活用の振り返り会」では、効率的なプロンプトの活用法やAIモデルの使い分け、設計段階でのゴール設定の重要性といった実践的な知見が共有されています。また、AIの提案に対する最終的な判断責任は開発者が持つという方針のもと、コードの影響範囲の把握や品質管理に関する独自の運用ルールを策定し、継続的な改善サイクルを回しています。
熱量が交差する場所「小浜ヴィレッジ」
霧島ラボの拠点である「小浜ヴィレッジ(obama village)」は、単なるオフィスではなく、全国から「地方を元気にしたい」「霧島をもっと面白くしたい」という情熱を持った人々が集う場所です。霧島ラボのメンバーは、この開かれた環境で多様な価値観に触れ、柔軟な発想力を養っています。地域や人との関わりから得られる「生きた学び」は、チームの結束を高め、アプリの品質や仕様策定において重要な指針となっています。

関係者のコメント
霧島市の中重 真一市長は、divxが霧島市初のAI関連企業として、新たな雇用の創出や若い世代が先端分野に触れる機会を生み出していることに大きな意義があるとコメントしています。都市部で進められていたIT分野の高度な開発が霧島市で進展していることを心強く感じており、今後も移住・定住や二地域居住の促進に向けた取り組みを推進していく考えを示しています。

株式会社Obama Villageの有村 健弘代表は、霧島から最先端のAI人材が育ち、新たなキャリアが生まれることを歓迎しています。divxの取り組みは、地方でも高度なデジタル開発が完結することを示す象徴であり、obama villageが掲げる「生きるをつくる、未来の村。」の実践そのものだと述べています。

株式会社divxの物部 英嗣代表取締役社長は、地方創生の出発点は雇用の創出にあると考えており、特に地方では能力が十分に活かされていない子育て世代の女性が多い現状を指摘しています。ITの仕事は場所や物理的な制約を受けにくいにもかかわらず、これまでのIT産業では「経験者を都市部で採用する」ことが前提だったと語っています。霧島ラボでは、現地で人材を育成することを前提に生成AIを活用した学習・開発プロセスを設計し、IT業務未経験のメンバーが要件整理から実装までを担い、アプリケーションを完成させる段階に到達したことを強調しています。今後は、この仕組みを他地域や自治体、企業との連携を通じて展開し、地方における持続的な雇用創出とAI人材育成の新しいモデルを提示していく展望を述べています。
霧島ラボリーダーの遠矢 彩加氏は、AIを活用することで地方という地理的なハンデやエンジニアとしての経験の差を圧倒的なスピードで埋められることが証明され、大きな自信につながったとコメントしています。最新のAI技術とobama villageでの豊かな交流が融合することで、使う人に寄り添った開発が実現できていると感じており、霧島から新しい働き方の選択肢を広げていくことに意欲を示しています。
今回開発されたアプリの概要
霧島ラボは今回、iOS/Android向けアプリとBtoB向けSaaS型ソリューションの2種類のアプリケーションを、UI/UX設計から実装、申請まで一貫して担当しました。いずれも短期間での開発が求められるプロジェクトで、総コード量は約10万行に及ぶ規模です。
iOS/Androidアプリ
一般ユーザー向けのモバイルアプリで、Flutter(iOS/Androidの共通部分をまとめて開発できる技術)によるクロスプラットフォーム開発に加え、iPhone専用機能を扱うためにSwift(Apple製品のアプリ開発に用いられるプログラミング言語)でのネイティブ実装(約2.8万行)も行われました。FlutterとSwiftを併用することで、1つのアプリで実質2種類の開発が必要となる構成が特徴です。主要機能を約1カ月で実装し、その後2週間でストア申請まで完了しています。
BtoB向けSaaS型ソリューション
Webとアプリが連携するSaaS型プロダクトで、TypeScript(JavaScriptを拡張して作られたプログラミング言語)を用いたバックエンドとの接続を含む複雑な要件を、約1.5カ月で製品化しています。
これら異なる2つのアプリを約2.5カ月で地方採用メンバーのみで並行開発し、ストア公開からSaaSモデルの構築まで対応したことは、「霧島モデル」による早期AI人材育成の成果を示しています。
今後の展望
divxは、今回の取り組みで得られた知見を基に、地方拠点におけるAI開発の運用モデルを整理し、他地域での拠点展開や、自治体・企業との協業を検討しています。地元採用による人材育成の仕組みづくりや、地域課題に対するAI活用の可能性についても、引き続き霧島市と連携しながら取り組んでいくとのことです。
株式会社divxについて
株式会社divxは2021年創業のクリエイティブカンパニーで、AI技術を活用したソフトウェア開発およびソリューション提供を行っています。事業のDX推進を支援するため、デジタル分野におけるコンサルティングからサービス開発・運用まで一貫した体制を構築しています。2022年にはAWSセレクトティアサービスパートナーの認定を受け、クラウドサービスに関する技術力が評価されています。
オフィシャルサイト:
https://www.divx.co.jp/