業界初、AI搭載のエンドツーエンド3Dキャラクターアニメーションパイプライン
「VISVISE」は、2025年初めにgamescomで一般公開され、アニメーション制作で特に時間のかかる準備段階を効率化する自動化技術で注目を集めました。今回、コンピュータグラフィックス分野で世界最大級のカンファレンスであるSIGGRAPH Asia 2025において、「VISVISE」はその技術をさらに進化させ、3Dキャラクターアニメーション制作の全工程をカバーする「完全なエンドツーエンドAIソリューション」として発表されました。
イベント期間中、「VISVISE」のブースではライブデモが実施され、多くのゲーム開発者や業界の専門家が技術交流や体験に訪れました。来場者からは高い評価が寄せられ、あるシニアテクニカルアーティストからは「これまでの作業が数日かかっていたものが数分で完了し、パイプラインにシームレスに統合できるのは革新的だ」という声が聞かれました。また、別のアニメーションディレクターは「ワークフローが合理化されたことで、アーティストはツールと直感的かつ直接的に関わることができるようになり、プロフェッショナルな成果物がこれまで以上に身近になった」とコメントしています。
「VISVISE」の詳細については、VISVISE公式サイトをご覧ください。
テンセントワークショップで発表されたVISVISEの主要技術
SIGGRAPH Asia開催期間中、12月16日にはテンセント主催の「ニューラルグラフィックスと生成AI」ワークショップが開催されました。このワークショップでは、「VISVISE」のプリンシパルAIリサーチャーであるZijiao Zeng氏が「ジオメトリに命を吹き込む：3Dキャラクターアニメーションのための統合生成パイプライン」と題して講演を行いました。Zeng氏は「VISVISE」のコア技術の最新バージョンを解説し、業界初となる大規模スケルトン生成モデル「VISVISE SkeletonGen V1.0」を紹介しました。このモデルは、幅広いキャラクタータイプのリグ（骨組み）生成に加え、スカートや髪の揺れを表現するための補助骨（物理スケルトン）の自動作成にも対応しています。
続いてZeng氏は、新しい「VISVISE Skinning Model V4.5」を発表しました。このモデルは、プライマリスケルトンと物理スケルトンの両方で、ワンクリックAIスキニングにより90%以上の自動化率を達成します。人型、四足歩行、銃器、モンスター、その他複雑なアセットのスキニングに対応しており、異なるコンテンツタイプ間での強力な汎用性を示しています。
さらに、Zeng氏は「VISVISE」の3Dアニメーション生成機能についても触れました。チームが「大規模な制作実務に対応可能な初の3Dアニメーション生成モデル」と位置づける、新しい「MotionGen Beta」モデルの展開が開始されています。MotionGen Alphaと比較して、Beta版ではフットスライディング（足の滑り）、ジッター（微細なブレ）、歪みといった問題を6分の1にまで低減しつつ、業界トップクラスのベンチマークに匹敵する品質のモーション生成を実現しています。このアニメーションシステムは、3つのコアAIツールによってエンドツーエンドのインテリジェントなアニメーションワークフローを形成し、従来の手作業によるアニメーション制作の効率を大幅に向上させることが期待されます。
次世代クロスエンジン・ライティングソリューション「MagicDawn」をローンチ
同ワークショップでは、テンセントゲームズが開発した業界初のクロスエンジン・ライティングソリューション「MagicDawn」も公開されました。「ゲームにおけるレンダリング技術の最前線と実践—視聴覚の境界を打ち破り、次世代のインタラクティブ体験を創る」と題したセッションでは、レンダリングR&D責任者のChao Li氏がチームの最新のブレークスルーについて詳細に語りました。
Li氏は、大規模オープンワールド向けのテンセントゲームズのクロスプラットフォーム・グローバルイルミネーション（GI）技術を紹介し、実行時のパフォーマンス、映像の忠実度、パッケージサイズ、動的GIへの適応、全体的な制作効率という5つの核心的な課題に対する解決策を詳述しました。また、AIレンダリングにおける新しいNDGIソリューションも紹介され、ハイエンドGPUに依存することなく、従来の技術よりも大幅に高品質な動的GIを実現できることが示されました。さらに、AIアクセラレーテッド・レイトレーシングから得られた知見を活かし、空間オーディオ研究における最近の進展についても共有されました。同様のハイブリッドAIとレイトレーシングのパイプラインを適用することで、よりリアルで物理に基づいた3D音響空間の構築が可能になると考えられます。
数十年にわたるゲーム開発の経験を基盤として、テンセントゲームズは今後も先駆的なAI技術を進化させ続け、ゲームクリエイターがより質の高い革新的なゲームを開発できるよう支援を行い、よりイノベーティブで持続可能な世界のゲームエコシステムの育成に貢献していくことでしょう。
