2025年総括:AIが「現場で汗をかき始めた」1年
2025年、生成AIは単なるチャットボットの域を超え、自ら考え、現場で実務をこなし始める一年となりました。年初には中国企業による価格破壊が起こり、OpenAI一強時代が終わりを告げるとともに、GoogleのGemini 3やNano Banana Pro、DeepSeekのような無料で使えるオープンウェイトモデルが急速に成長しました。
2025年を象徴する3つの転換点
2025年には、AIの進化において特に重要な3つの転換点が見られました。
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「反射的な回答」から「熟考」へ
DeepSeek-R1やClaude 3.7、OpenAI o1シリーズなどの登場により、AIは回答を出す前に「頭の中で検算や確認をする」能力を獲得しました。これにより、これまでAIが苦手としていた数学、科学、複雑なプログラミングといった領域での実用性が飛躍的に向上しています。 -
「対話」から「PC操作の代行」へ
Anthropicの「Computer Use」やOpenAIの「Atlas(Operator)」といった技術により、AIはチャット画面から飛び出し、人間のようにブラウザを操作し、複数のステップを伴う業務を肩代わりする「エージェント」へと役割を変え始めました。 -
物理的・国家規模のインフラ産業へ
AI開発はソフトウェアの領域を越え、巨大なハードウェア・電力産業へと変貌を遂げています。最大5,000億ドル規模の「Stargateプロジェクト」や、Microsoftによる原発再稼働支援などは、AIがもはや「電気と場所を取り合う物理産業」になったことを示しています。

2025年の生成AI主要トピックの詳細は、以下のリンクから確認できます。
2025年生成AI主要トピックの詳細
2026年への提言:AIは「数日単位」で自律稼働する時代へ
2026年には、AIの性能向上におけるパラダイムが、従来の「事前学習」から「強化学習(事後学習)」へとシフトし、さらなる指数関数的な進化が予測されます。
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自律稼働時間の飛躍的向上(数日間のタスク完遂)
現在、AIがソフトウェアエンジニアリング領域において自律的に実行可能なタスク時間は約2.5時間ですが、METR等の指標によれば、この「自律稼働時間」は約4~7ヶ月で倍増する傾向にあります。2026年末には、AIが数日間(約20時間以上)にわたって自律的に作業を継続できるようになるでしょう。これは、優秀な人間が数日かけて行う「設計、バグ修正、資料作成」といった複雑な一連の工程を、AIが一人で完遂できることを意味します。 -
GUI操作の標準化と「ホワイトカラー業務」の変容
人間と同じように視界(画面)から情報を得て、マウスとキーボードで操作を行う能力は、2026年には人間と同等以上に達する見込みです。複雑な図表を含むパワーポイントの作成や、Web会議の内容をリアルタイムで認識・要約し、次のアクションを自動でタスク化するような、高度な事務作業が実用化されるでしょう。 -
AIによる「小規模な科学的発見」とR&Dの加速
特定のドメインに特化したAIではなく、汎用モデルが自律的に研究調査を行い、材料科学や医学などの分野で具体的な「科学的発見」を生み出し始めるでしょう。AIが博士号取得者の数年分に相当する成果を短期間で創出する事例が増え、企業の競争力は「AI研究アシスタントをいかに使いこなすか」にかかってくるはずです。
2026年AIトレンド予測の詳細な解説は、以下のリンクで確認できます。
2026年AIトレンド予測の詳細解説
AIは「自律実装」の時代へ
2025年は、生成AIの「お試し期間」が終了した年と言えるでしょう。これからの2026年は、AIを単なるツールとして使う段階から、AIが主体となって仕事を完遂する「自律実装」の時代へと突入し、電気や水道のように「あって当たり前の知的なインフラ」になることが予想されます。
今後のビジネス環境では、AIに上手なプロンプトを打つだけでは不十分です。求められるのは、複数のAIをそれぞれの得意分野で采配し、一連のワークフローを完遂させる「オーケストレーター(指揮者)」としての能力です。
株式会社SHIFT AIは「日本をAI先進国に」というビジョンのもと、この歴史的な転換期において、AIという強力なエンジンを乗りこなし、新しい価値を生み出せる人材を育成し続けています。

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